スペインで「バスタブがなくて困った」「温泉に行きたい」と思ったことはありませんか?
近年、スペインではアパートメントにバスタブを設置せず、シャワー室のみとなっている設計が増えてきました。これは、省スペース化や利便性を重視する最近の傾向で、実際にバスタブ付きの住居は少なくなってきているのが現実です。
日本を離れて暮らしていると“湯船”が恋しくなってくるものですが、そんな時は、スペイン各地で楽しめる温泉スポットへ出かけてみませんか?
スペインには、古代ローマ時代から続く温泉文化があります。それぞれの地域の歴史や文化、自然に触れながら、心地良い温泉でひとときの療養を。そんなスペイン滞在もおすすめです。
今回は、スペインで体験できるとっておきの温泉と人気の温泉地についてご紹介します。
スペインにも温泉がある?

スペインでは日本のように日常的な入浴文化として温泉が根付いているわけではありません。しかし、紀元前200年頃から温泉の治療効果が注目され、医療・療養の目的で温泉が利用されてきました。
かつては修道士たちが治療に温泉を利用するために温泉地近くに修道院が設立された、という地域もあります。
また、川や海と温泉水が溶け合うエリアでは、ほどよい温度の水の中を泳ぐことができ、人気の観光スポットにもなっています。
自然に溶け込んだスペインの天然温泉の魅力

雄大な山々や渓谷、澄んだ川や海岸線などの美しい自然景観の中に点在する温泉がスペインには数多くあります。しかも、無料で気軽に利用できる場所も。
近郊の観光や自然探索も楽しめ、季節折々の自然美を堪能できる温泉体験は、日々の疲れやストレスを癒す絶好の機会となります。
スペインの鉱泉は、心と体に効く天然の処方箋
日本の水とは異なりスペインの水は硬水で、多くの温泉水はカルシウム、ナトリウム、鉄分、硫黄などを多く含む鉱泉です。鉱泉には、健康・美容・精神面でのメリットがたくさんあります。
鉱泉の効能
- 血行促進
- 代謝向上
- デトックス効果
- 肌の再生力アップ
- アトピー性皮膚炎・にきびの改善
- 美肌・保湿
- 関節炎の緩和
- 冷え性の改善
- 睡眠の質の向上
- ストレス軽減
▼【スペインの水】については、以下の記事で詳しく解説しています。併せて参考にご覧ください。

スペインの温泉スタイルと特徴 – 日本の温泉との違い

スペインでは裸で温泉に入ることはまずなく、水着の着用が求められます。自然の中の温泉も必ず水着を身につけて入りましょう。
スパやホテルでは水着を貸し出していることもあるので、スペイン旅行で立ち寄る場合は現地でのサービスを確認してみてください。
スペインを代表する温泉地は?

数ある温泉地の中でも特に有名な地域をご紹介します。
バレンシア州:モンタネホス(Montanejos)
バレンシア州カステリョン県にある温泉地、モンタネホス。源泉はムガ川の近くにあり、温泉水と自然の水流が交わり清涼感にあふれる和みのスポットです。
最も有名なのが、「お風呂の泉(Fuente de los Baños)」と呼ばれている、完全に自然と一体化している泉地。岩壁の間にあり、年間を通じて25℃程度のぬるいお湯を泳いで体感することができます。公共エリアでは入場料が不要で、有料スポットでも3〜4€程度で利用可能。特に春と初夏は気候が良く、人がそれほど多くないため狙い目です。
ガリシア州:オウレンセ(Ourense)
スペイン北西部のガリシア州に位置するオウレンセは、スペイン屈指の「温泉の街」として知られています。市内を流れるミーニョ川沿いの公営施設は、無料または低料金で利用可能です。
日帰り温泉スポットとしては、「テルマス・デ・ア・チャバスケイラ(Termas de A Chavasqueira)」や「テルマス・アリス(Termas Outariz)」が人気。中世の石橋「ローマ橋」や歴史ある旧市街も見どころで、温泉と文化が調和する癒しの都市です。
ムルシア州:アルチェナ(Archena)
アルチェナは、スペイン南東部のムルシア州に位置する、美しい山々に囲まれた小さな町。ローマ時代の浴場跡が残っており、約2000年以上の歴史を持つ温泉地です。
泉質は、硫黄やミネラルを含み、関節炎や呼吸器疾患に効果があるといわれています。治療効果が高いと評判で、医療目的でも広く利用されています。近隣には観光地が多く、日帰り旅行にも最適な距離感です。
バルセロナ近郊:カルデス・デ・モンブイ(Caldes de Montbui)
カタルーニャ州バルセロナ県にある歴史ある温泉町、カルデス・デ・モンブイ。バルセロナ中心部から車で約40分の距離にあり、アクセスが良好です。
この地の温泉水には鉄分やミネラルが豊富に含まれ、疲労回復や美肌ケアに優れています。市内の温泉施設としては、7つの温泉プールを備えたホテル「バルネアリオ カルデス デ モンブイ(Balneario Caldes de Montbui)」が有名。その他、無料で利用できる公共スポットもあります。
アンダルシア州:エディオンダ(Hedionda)
スペイン南部アンダルシア州のマラガ県カサーレス町に位置する温泉地、エディオンダ。地中海沿岸の美しいリゾートエリアに近接しています。リオ・デ・マニルバ渓谷の岩壁に温泉水が流れ込んいるため、山間の渓谷で温泉が楽しめ、洞窟のような幻想的な雰囲気のあるスポットが人気です。
地名の「エディオンダ(Hedionda)」とはスペイン語で「悪臭のする」という意味に由来しているのですが、それは、この地の温泉が硫黄を豊富に含んでいるから。独特の匂いを持ち、冷え性や自律神経の乱れの改善に効くといわれています。
カナリア諸島:火山由来の温泉も人気
ラ・パルマ島、テネリフェ島、ランサローテ島など、火山活動によって生まれたカナリア諸島の島々には、火山の影響を受けた温泉資源があります。
火山温泉はミネラルが豊富で、特に美肌効果や血行促進に優れているのが特徴。大自然の美しさとパワーを全身で感じつつリラックスできる最高のスポットです。
スペインでの宿泊にぴったりの温泉ホテル

ゆっくりと滞在を楽しみたい、という方へ。温泉付きの人気ホテルをご紹介します。
カスティーリャ・テルマル(Castilla Termal)
スペイン国内に5軒の温泉ホテルを展開しているカスティージャ・テルマル。中でも最も評価を受けているのが、「カスティーリャ・テルマル・モナステリオ・デ・バルブエナ(Castilla Termal Monasterio de Valbuena)」です。
12世紀に建造された修道院をリノベーションし、中世の石壁、高いアーチ、美しい回廊など、歴史的建築の魅力が宿泊体験の一部となっています。リラクジェーションエリアの広さは2,000平方メートル。16のトリートメントルーム、温水プール、インフィニティプールなどが備わっています。
地域:カスティーリャ・イ・レオン州
マドリードから車で約2時間、バリャドリッドからは約45分
同系列の温泉ホテルは、バルブエナのほか、カスティーリャ・イ・レオン州ソリア県にある「オスマ(El Burgo de Osma) 、バリャドリッド県にある「オルメド(Olmedo)」も人気です。そのほか、ブリウエガ(Brihuega)、ソラーレス(Solares)にも施設があります。
Castilla Termal Burgo de Osma 公式サイト
バルネアリオ・デ・アルチェナ(Balneario de Archena)
「バルネアリオ・デ・アルチェナ」は、2500年以上の歴史を誇る天然温泉ホテルです。温泉水は52℃の自然湧出で、硫黄・ナトリウム・カルシウムなどのミネラルを豊富に含んでいます。温水プール、スパ、サウナ、トリートメントセンターなどの施設のほか、マッサージや医療ケアサービスも充実していて、長期滞在型の療養にも利用されています。
地域:ムルシア州
ムルシア市内から車で約25分
バルネアリオ・デ・ラ・エルミーダ(Balneario de La Hermida)
ピコス・デ・エウロパ山脈の渓谷に位置する、緑豊かな山々に囲まれたスパリゾート。16世紀から知られる温泉地で、1881年にホテルが誕生し、2006年にリニューアルされました。施設はやや古いですが、絶景を眺められる温泉プールのほか、サウナや蒸気浴、ホットタブがあり、自然の美しさと温泉の質では評価されている施設です。
地域:カンタブリア州
サンタンデールから車で約1時間
スペイン温泉旅行の持ち物チェックリスト

スペインの天然温泉(バルネアリオ / Balneario)や温泉スパ(Termal)に行く時に必要な持ち物リストをまとめました。お出かけの際には、事前にチェックしてみてください。
基本の持ち物リスト 〜日帰り温泉に出かけるなら
- 水着
- スイムキャップ(室内プールでは着用が義務付けられている場合があります)
- タオル
- ビーチサンダル
- 飲み水
- 着替え
- ロッカー用の小銭(荷物や貴重品を預けておくロッカーが有料の場合もあります。1ユーロ単位の小銭を用意しておくと安心です)
宿泊用の持ち物リスト 〜温泉ホテルに泊まるなら
ホテルに一泊するなら、基本の持ち物に加えて、次のものも用意することをおすすめします。スペインのホテルではアメニティが揃っていないことが多いので、シャンプーや洗顔料は持っていくと良いでしょう。
- アメニティ(シャンプー、リンス、ボディソープ)
- 洗顔料
- 好みの歯ブラシ
- ヘアブラシ
- 室内用スリッパ
あると便利な持ち物リスト
- 保湿クリーム(温泉後は肌が乾燥しやすいので、潤い補給が大切です)
- 防水スマホケース(撮影OKの場所なら、あると活躍します。※撮影NGの場所も多いので事前に確認を)
- メガネ・コンタクトケース(サウナや室内温泉では外す必要があります)
- 日焼け止め(屋外温泉では、紫外線予防もしっかり)
- 小さな薬ポーチ(旅先では薬局が近くにない場合があるため、常備薬や絆創膏などは用意しておきましょう)
- 髪ゴム(日本のように備え付けがないことが多いです)
- コンパクトな電気ボトルや保温タンブラー(宿泊先で温かいお茶を飲みたいという方は、持参を)
▼スペイン旅行の持ち物については、こちらの記事も参考に。

スペインでしかできない温泉体験を
自然と共に癒されるスペインの温泉では、日本とはひと味違う爽快さや異文化を体験でき、改めてスペインの魅力を再発見できます。
休日に少し足を伸ばして、心と体をほぐしてみませんか?
旅行に関して、予約やプラニングなどでわからないことがありましたら、スペイン現地のサポート会社「おまかせマドリード」へお気軽にご相談ください。
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