スペインのクリスマス文化:どんな過ごし方をする?

日本ではクリスマスといえば12月24日・25日のイベントとして定着していますが、スペインでは新約聖書をもとに1月6日の公現祭までキリスト誕生を祝う行事が続きます。

今回は、この時期を象徴するスペインならではの独自の伝統文化と、ユニークなクリスマスシーズンの過ごし方をご紹介します。

目次

年末のカウントダウンと「ぶどう12粒」

スペインの新年は「12粒のぶどう」を食べて迎えます。

12月31日、大晦日(Nochevieja)の深夜0時になる12秒前、新年を迎えるカウントダウンとともに1秒ごとに1粒ずつ、計12粒のぶどうを食べるのが、一般的な習慣です。

この時に食べるぶどうは「幸運のぶどう(las uvas de la suerte)」とも呼ばれ、12粒それぞれに新年の12ヶ月に幸運が訪れるようにという願いが込められています。

マドリードのカウントダウンスポット

新年を迎えるカウントダウンイベントのメインスポットといえば、ソル広場(Puerta del Sol)です。

マドリード州首相公邸の建物上にある時計台の鐘がカウントダウンの合図となり、テレビではその音が生中継されます。1月1日の0時になる12秒前から1秒ごとに鐘が鳴り、そのたびに1粒のぶどうを食べ、12粒をほうばったところで年が明けます。

※12月はクリスマス前からソル広場に多くの人が集まるため、安全上の理由で地下鉄のソル駅が閉鎖されます。カウントダウンの日もソル駅は利用できません。かなりの人手となるので、街中へ出かける場合は盗難に十分気をつけてくださいね。

クリスマスのシンボル「ベレン」

Image by G.C. from Pixabay

スペインのクリスマスに欠かせないのが「ベレン」と呼ばれるキリスト生誕を表している模型です。キリストが生まれた町であるベツレヘムの町の様子を再現したもので、マドリード市庁舎や大聖堂では、大きなベレンが展示されます。

家庭でも小型のベレンを飾り、クリスマスムードを楽しみます。
クリスマスマーケットではベレンのミニチュアが販売されていて、そこで毎年少しずつ購入してベレンを完成させていくことを楽しみにしているという人たちも。

こうした習慣は、キリスト教の伝統が根付くスペインらしい文化の1つです。

クリスマスの豪華なディナー

家族で集まるクリスマスには、豪華なメニューがテーブルに並びます。

マドリードのクリスマスディナーの定番は、子羊の丸焼き(lechazo asado)や、子豚の丸焼き(cochinillo)。
エビやムール貝など、新鮮なシーフードも欠かせません。

デザートにはトゥロン(アーモンドのキャラメル菓子)やポルボロン(口どけの良いクッキー状の伝統菓子)で締めくくり。

一般的に12月24日にディナー、または25日のランチに家族で揃って温かいひとときを過ごします。

▼こちらの記事では、クリスマスのパーティやおもてなしにおすすめの「スペイン料理レシピ」をご紹介しています。
ぜひ挑戦してみてください

1月6日の「東方三賢者の日」

スペインにはもともとサンタクロースがやってくる伝統がありません。子供にも大人にもプレゼントを運んできてくれるのは、キリストの誕生を祝うために東方からやってくる賢者メルチョール、ガスパール、バルタサールの3人です。

3賢者からプレゼントを受け取るのは、1日6日の公現祭の朝。この日は「東方三賢者の日」(Dia de los Reyes Magos)と呼ばれていて、12月25日と同様にスペインでは家族と過ごす大切な祝日です。

子供たちは三賢者への手紙を書き、1月5日の夜には靴か靴下を窓辺に置いて眠ります。すると翌朝にはそのそばにプレゼントが。子供たちだけではなく、両親にも、おじいちゃんやおばあちゃんにも、プレゼントは全員に届きます。

新年のお菓子「ロスコン」

1月6日にはロスコン・デ・レジェス(Roscón de Reyes)という伝統的なケーキを食べる習慣があります。王冠を現したリング状のパン生地ケーキで、砂糖漬けされたアンゼリカやチェリーなどのフルーツが華やかに飾られています。

中には小さな人形と、アバ(haba)と呼ばれる豆が隠されていて、切り分けた時に人形が入っていた人には新年に幸運がもたらされます。アバが当たってしまった人は次回にロスコンを買う役割を担うことに。

近年では1月6日に限らず、クリスマスシーズンは12月下旬からパン屋やデパートでロスコンが売られています。この時期にスペインを訪れたら、一度ぜひ試してみてください。

プレゼント交換が盛り上がる「アミーゴ・インビシブレ」

アミーゴ・インビジブレ(Amigo Invisible)は、プレゼントを交換し合う楽しみ方の1つです。友人、家族、職場仲間たちと一緒に、それぞれ贈り相手を秘密にしてプレゼントを用意します。誰が贈り主かを最後まで伏せることで、サプライズと楽しさが倍増するというのが特徴です。

この伝統は、もともとアメリカのシークレット・サンタがベースとなり、20世紀後半にスペインに広がりました。予算を設定したり、テーマを決めたりと、工夫次第でさまざまなアレンジができます。

全員分にプレゼントを選ばずに済むので、簡単で経済的なのがいいですね。相手を笑顔にする小さなサプライズで、絆がいっそう深まるというのも魅力。こうしたみんなが楽しめる仕組みが人気の理由です。

アミーゴ・インビジブレの遊び方

  1. 参加者全員の名前を書いた紙を用意し、それぞれを折りたたんで容器に入れます。
  2. 1人ずつ紙を引き、自分の「アミーゴ・インビジブレ」(贈り相手)を決定します。
  3. 自分の名前を引いた場合は引き直します。
  4. あらかじめ決めた予算内で、相手が喜びそうなプレゼントを購入します。
  5. プレゼントには宛名だけを書いて、贈り主は秘密にしておきます。
  6. みんなで集まってプレゼントを渡し合い、最後に誰が贈り主だったかを明かします。

クリスマス&年末年始の挨拶

最後に、クリスマスや年末年始に人々が交わす挨拶を簡単にご紹介します。

メリー・クリスマス!

¡Feliz Navidad!
フェリス ナビダッ

良いクリスマス&年末年始を!

¡Felices fiestas!
フェリセス フィエスタス

素敵なクリスマスと新年を迎えられますように。

Le deseo una feliz Navidad y un próspero Año Nuevo. 
レ デセオ ウナ フェリス ナビダッ イ ウン プロスペロ アニョ ヌエボ

新年おめでとう! /ハッピー・ニュー・イヤー!

¡Feliz Año Nuevo!
フェリス アニョ ヌエボ

新しい1年が、あなたに多くの幸せをもたらしてくれますように。

Deseo que este nuevo año le traiga mucha felicidad.
デセオ け エステ ヌエボ アニョ レ トライガ ムーチャ フェリシダッ

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